メール
この話しは15年ほど前のこと。
当時はLINEもスマホもなかった。
ガラケー、キャリアメールの時代。
団員どうしの連絡は、楽団ホームページの掲示板がメインだった。
仲のいい団員はメールアドレスを交換して、いろいろとやりとりをしていた。
そんな時代。
オレもようやく慣れてきて、練習後の飲み会にも参加することが増えてきた。
といっても飲めないたちなので、毎回ウーロン茶だが。
若い女性団員もけっこう飲み会には来ていた。
その中で必ず顔を出していたのが、幾子だった。
といっても指揮者の森先生と、東和楽器の立川さんといつもいっしょだった。
三人ともヘビースモーカー。
幾子は楽器運搬係なので、立川さんと一緒にいることがとても多かった。
ちょっと立川さんが羨ましかった。
楽団に慣れてくるにしたがって、メールアドレスを交換する相手も増えてきた。
幾子ともアドレスを交換した。
でもたいしてやりとりをするわけでもなく、たまに事務連絡に毛が生えた程度のメールが来るくらいだった。