ちょっと休憩その2

いつも読んでくださってありがとうございます。

ずいぶん前のことなので、記憶をたどりながら書いています。

シチュエーションなどは、少し変えております。

それを考えるのがけっこうたいへんです。

事実をそのまま書いたら楽なのですが・・・。

 

ちょっとそろそろ盛り上がってくる段階にさしかかってきたのですが、きゃ〜えっち〜〜(笑)という状況を描写するのは、勇気が要ります。

まだ勇気がなかなか出ません。

 

なのでいったん休憩してしまいました(汗)

あんまり露骨な表現をしてしまうと、banされてしまうかもしれないですし。

 

急に寒くなってきましたね。

いつもはシャワーだけですませるのですが、さすがに今夜はお風呂に入ります。

 

ではお風呂入って休みます。

おやすみなさい。

 

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

グランプリ

こんな日々が3〜4か月続いたろうか。

はじめて二人で出かけてからは半年以上経っていた。

 

大手デザイン会社が募集したイラストコンクールに応募したと幾子から聞かされていた。

そろそろ結果が出る頃だねと話していたのだが。

 

なんと初の応募で、グランプリを獲得してしまった。

副賞は、けっこうビックリするくらいの現金、それに好みの画材一式、それとデッサンツアーをかねた2泊3日の旅行。

 

佳作入選が目標だったので、応募した幾子本人がいちばん驚いていた。

デザイン会社からは、今後は定期的にイラストを描いてもらいたいというオファーと、大手デザイン会社に、イラストレーターとして所属しないかという打診まで受けていた。

 

一夜にして環境が変化してしまうというできごとを目の当たりにして、オレも半ば放心状態になってしまった。

 

授賞式の打ち合わせにデザイン会社を訪問してきた帰り、とにかくお祝いをしようと、ハンバーグ専門店でディナーをふるまった。

フレンチやイタリアンや、お寿司うなぎなどではなくて、ハンバーグというのが微笑ましいというかなんというか・・・。

 

食事を終えて幾子を家まで送る途中、急に幾子がとても遠いところへ行ってしまうような寂しさと、悲しい気持ちに襲われた。

もうオレなんかの手の届かない存在になってしまうんだ・・・。

 

遠出

幾子と会うのは、やはり宮町ウインドアンサンブルの練習のあと、ということがいちばん多かった。

夜のデートもそれはそれで楽しいが、やはり昼間に会いたいと、どちらともなく言い出して、県外へのドライブをすることが多くなった。

 

起きてから準備が整うまで最低2時間はかかると幾子が言うので、いつも東和駅前のサンマルクカフェで、コーヒーを飲みながら待機していた。

「準備できたよ」というメールを待ちながら、のんびりしている時間はけっこう好きだった。

 

幾子から連絡があると店を出て、幾子の家の近くにある団地の駐車場にこっそり車を停めて待っている。

合流したら、すぐ近所にあるインターチェンジから高速道路に乗って、ちょっと遠出のドライブ。

 

このパターンがのちのちまで続くことになった。

 

いろいろなところへ出かけた。

幾子がイラスト制作に使う画材を扱っている、県庁所在地にある専門店。

立川店長には申し訳ないが、東和楽器の品揃えはいまひとつなので、隣県にある大型楽器店。

幾子はマンガを描くことにも興味があるので、ちょっとおたくっぽい同人誌などを扱う書店(これも隣県にあった)

オレの趣味である乗り鉄に付き合わせたりもしたし、大型ショッピングモールにも出かけた。

 

よく7年間誰にも会わなかったものだ。

いや、会っていたかもしれないが気づかなかっただけかもしれない。

 

ドライブの途中、休憩に立ち寄った東和市からはかなり離れた場所にあるサビースエリアで、幾子の肩を抱いた。

「ここなら誰にも会わないかなぁ・・・と思って」と言い訳がましく言ったら

「そうだよね。東和市にいたらこんなことできないもんね。」と幾子が返事をしたのには驚いてしまった。

 

厚手のコートを着ていても、手のひらに収まってしまうくらい細い肩だった。

 

告白後

いったんは告白してふられたわけだが、メールのトラフィック制限を撤廃?してからは、毎日毎日たくさんメールのやりとりをして、結局は今までとたいして変わらない状況になってしまった。

 

イラストレーター志望の幾子だったから、楽団のポスター制作などを頼まれることが多く、ふたりで演奏会のチラシや、ステージに飾る横断幕を作ったりしていた。

 

年内でローソンのバイトを辞めることになり、最終勤務日の夜にわざわざ車でお店を訪ねたりしていた。

途中、今で言うところのあおり運転に遭遇して、店に着いた時は顔面蒼白になっていたらしく「何があったの?」と心配されたりした。

 

宮町ウインドアンサンブルは、楽団員のレベルはたいして高くないのに、指揮者の森先生が時々、とてつもない難曲を持ってくることがある。

そういうときは、コソ練と称して、カラオケボックスにこもってふたりだけのパート練習をしたりした。

 

練習後に「マツキヨ前」で集合して、マックで調達したハンバーガーを車内で食べるということも相変わらずだった。

 

オレってフラれたんじゃなかったっけ・・・。

まあ、こうやって会っているんだから、あまり考えないようにしよう。

 

車の中やカラオケボックスといった密室で二人きりになっても、キスはおろか手も握っていなかった。

 

ボディコンタクトが生じるのはまだまだ先だった。

ちょっと休憩

どうも、読んで下さってありがとうございます。

これはもう15年も前の話になるのですね。

 

やっぱり身バレが怖いので、少し脚色してあります。

東和市なんて町は存在しませんし(あるのかもしれないですが)、宮町ウインドアンサンブルなんて楽団もありません。

森先生も立川さんも、東和楽器も架空の存在です。

 

できれば、どの町だろうなんて詮索をせずにお読みいただければ嬉しいです。

今はもうこういう日々とは無縁の、穏やかといえば聞こえはいいですが、刺激のない毎日を送っています。

 

宮町ウインドアンサンブルには4年ほど在籍しました。

幾子とのことは、たぶん在籍期間中、ずっとバレないで過ごせたと思います。

同じパートのお局さまにも嗅ぎつけられなかった(笑)。

 

男の恋は名前を付けて保存、女の恋は上書き保存と言いますから、きっときれいさっぱり忘れられているんだろうなぁと思います。

まあ、そのほうが幸せなんだと思います。

 

いわゆる道ならぬ恋のお話です。

けしからん!! という誹謗中傷はご勘弁くださいませ。

そういうコメントが付いたら、その時点で中断するか、公開範囲を狭めようと思っています。

 

オッサンの昔語りですので、暖かく見守っていただければ幸いです。

今日のところはこのへんでおしまいにします。

ではおやすみなさい。

もとデニ記念日

クリスマスプレゼントの名入りZippoを持って、もとデニに向かった。

幾子はすでに店に来ていた。

クリスマスイブ当日ではなかった記憶がある。

日付は忘れてしまったが、この日を後にふたりで「もとデニ記念日」と名付けた。

 

プレゼントを渡して、告白みたいなことを言った。

てっきりOKされると思っていたのだが、あっさり断られた。

 

冷静になってみればそりゃそうだ。

相手、つまりオレは47歳の既婚者、こんなオッサンと恋仲になっても将来なんてあるわけがない。

幾子の父親は50歳だったから、オレの3歳上。

娘の恋人が自分の3歳年下の既婚者と聞いたら、どう感じるか、想像することすら怖い。

 

とはいえ、告白を断られ目の前が真っ暗になってしまった。

でも幾子の言うとおり。

「わかった。ただ、お願いがある。メールのやりとりは続けさせてほしい。」

「それはいいよ。」

 

幾子が言うには、メールは一日3通までと自己規制?していたそうだ。

それの撤廃も約束してもらった。

 

そのあとはテーブルの下で手を握り合って(このとき初めて手を握った)、長いこと無言で向き合っていた。

 

帰宅後、幾子からメールが来た。

「今日はどうもありがとう。Zippo大切にします。今まで使っていたライターは父に返しました。」

 

失意と安堵がないまぜになった気持ちで床に就いた。

「ああ、終わってしまったなぁ・・・。」

 

このあと終わらないで7年も続くことになるとは、このときは思わなかった。

ライター

若い女性が持っていてもサマになるライター・・・。

非喫煙者のオレには、まったく知識がない。

毎日ネットで検索を繰り返す日々。

 

幾子は100円ライター、それも父親のお下がりを愛用している。

この際だから、長く使えるいいものをプレゼントしたい。

 

といってもライターの選択肢には限りがある。

スキニージーンズの似合う幾子が持つなら、やはりZippoだろう。

ちょっと無理をして、銀無垢のシンプルなものにした。

お店のサービスで名前を入れてくれるというので、目立たないようにライターの底にローマ字で「IKUKO」と入れてもらった。

 

準備万端、あとは当日渡すだけだ。

待ち合わせ場所は、隣町のデニーズ元町店、通称「もとデニ」にした。