はじめての練習
森さん、もとい指揮者なので森先生に誘われて、宮町公民館に出向いた。
駐車場に見覚えのある、商用バンが停まっていた。
東和楽器の立川さんが運転している営業車だ。
助手席に所在なげに座ってタバコをふかしている若い女性がいた。
それが幾子だった。
大きな目、でも鋭い目つき。
スリムなジーンズを履いて、肩までのソバージュ。
ぱっとみるとちょっと突っぱっている感じで近寄りがたい雰囲気。
あとでわかったのだが、当時22歳。
高校を出てコンビニでバイトしながら、イラストレーターを目指しているらしい。
パートはパーカッション。
立川さんの手伝いで、東和楽器から打楽器を運搬してくる役割なのだそうだ。
これもあとから知ったこと。
初めての練習・・・最初は見学のみのつもりだったのだが、帰り際に森先生から
「入団するよね」とみんなの前で言われてしまった。
「はい」としか返事のしようがないじゃないか・・・。
こうして毎週水曜日と日曜日の夜、宮町公民館に通うことになった。